遺伝による薄毛・抜け毛

男性ホルモンによる薄毛・抜け毛と併せて原因として挙げられるのことが多いのが、遺伝による薄毛です。厳密には、ハゲが遺伝するのではなく、「ハゲやすい体質が遺伝する」という考え方が一般的です。

AGAの8割が遺伝による影響

AGA(男性型脱毛症)の8割が遺伝によるものといわれていますが、この8割という数字の中には、男性ホルモンによるAGAも含まれています。なぜなら、男性ホルモンに関しても遺伝に寄るものが多いためです。

中でも、若年性脱毛症の場合は遺伝の影響が大きいようです。これは薄毛になりやすいホルモンバランスが遺伝するためです。親がAGAなどの薄毛の場合、子供へ遺伝する割合は父親が薄毛の場合で50%、母親が薄毛の場合75%、母方の祖父がハゲている場合も25%程の確立ではげるといわれています。

では、一体何が遺伝することによって薄毛・抜け毛の要因を作ってしまうのでしょうか?現在分かっているその要素として、以下の二つの要素があります。

5αリダクターゼ(5α-還元酵素)による薄毛

この5αリダクターゼと呼ばれる還元酵素は、両親から3分の2程の高確立で遺伝すると言われています。強力な男性ホルモン(DHT)に対して、敏感な性質が遺伝するかどうか?ということです。

親が男性ホルモンに対して敏感な遺伝子を持っていると、高い確率でその遺伝子が子供にも引き継がれることになります。その結果、AGAとなる確率が高くなってしまうわけです。

そして、男性ホルモンに対して敏感に反応してしまうと、以下に説明するような状態となり、抜け毛が増える要因となるのです。

ジヒドロテストステロンが髪の成長を妨げる

髪の毛の成長に欠かせない頭皮の毛母細胞の中には、「タイプ2型5αリダクターゼ」という酵素が存在しています。また、頭皮の皮脂腺の中には、「タイプ1型5αリダクターゼ」という酵素が存在しています。

この「5αリダクターゼ」という酵素は、男性ホルモンの一種である「テストステロン」と結合し、「ジヒドロテストステロン」というホルモンに変化します。この「ジヒドロテストステロン」というホルモンは、通常の男性ホルモンの5~10倍の強力さで、毛母細胞における髪の生成を妨げると言われています。

要するに、両親からの遺伝が原因で、「5αリダクターゼ」の量が生まれつき多いと、抜け毛になりやすい体質となり、結果的にAGAになってしまうわけです。

逆に、5αリダクターゼの量が少なければ、抜け毛の原因となるジヒドロテストステロンの生成が少なくなり、髪の毛の生成を妨げることも少なくなるというわけです。

男性ホルモン DHT(ジヒドロテストステロン)による薄毛

男性ホルモンが原因となる薄毛も、遺伝による影響が大きい要素といえます。男性ホルモン(テストステロン)は髭や胸毛などの体毛の成長を促すホルモンですが、毛髪に対しては成長・発毛を抑制する作用があります。(※ちなみに、「毛深い人は薄毛になりやすい」と言われることがありますが、実際のところはあまり関係が無いようです。)

男性ホルモンは、毛根にある毛母細胞で5αリダクターゼによりDHT(ジヒドロテストステロン)という物質に変わります。このDHTが毛根細胞の分裂を抑制するため、ヘアサイクルに悪影響を与えてしまい、薄毛や脱毛の原因となってしまうのです。

さらに、DHTは皮脂腺を刺激する働きも持ち、過剰に皮脂が分泌される原因となります。そして、その皮脂が毛穴の中の古い角質と混ざり合うことで、角栓様物質という大きな塊となって毛穴を塞いでしまい、育毛を阻害するという悪循環を生み出してしまうのです。

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