自毛植毛のデメリット

自毛植毛にはメリットが多く、その利点だけを見ていると、素晴らしいAGA(男性型脱毛症)対策だと思えてくるのですが、もちろんデメリットも存在しています。

これらのデメリットに対して、施術を受ける人がどこまで納得できるかも、自毛植毛を受ける際の判断基準になると思います。

手術費用が高い

自毛植毛の歴史自体は意外に古く、今から200年以上前の1800年頃から考案されていたとも言われていますが、実際にその手法が考案されたのは1930年代に入ってからとなり、施工に関してはまだ新しい分野といえます。

アメリカを始めとした海外では、自毛植毛は薄毛対策の主流となりつつありますが、日本ではまだそこまで認知された方法ではなく、手術費用も高額となっています。さらに、保険適応外の手術のため、自己負担も大きいのです。

海外では1本の毛辺りの植毛に掛かる費用は300円前後とされていますが、日本では500円から1000円と、数倍の価格差があるのです。

自毛植毛は、手術を伴いますので、頭皮の負担や定着率を考えて数回の手術が行なわれるのですが、その分だけ費用もかさんでしまうというわけです。

移植する本数に限りがある

自毛植毛のドナー(移植元)となるのは、基本的には後頭部や側頭部のグラフトが使われるのですが、移植する本数には限りがあります。移植元となった箇所からは「毛包」が無くなりますので、当然その箇所からは二度と髪の毛は生えてきません。

しかし、後頭部や側頭部は髪の密度が濃いため、植毛のために移植したとしても薄毛が目立ちにくいのです。

それでも、人間一人当たりの毛髪の本数は決まっています。元になる毛髪が有限である限り、無限に植毛を行なうことはできないというわけです。

また、埋め込んだ毛包には定着率があり、一度に多く植毛すると定着率が下がる傾向にあるので、一度に移植する本数も限られてきます。植毛した髪の毛も、必ずしも定着するわけではないので、定着率が悪ければそれだけ髪の毛の本数は減ってしまうというわけです。

頭皮へ傷が残ってしまう

自毛植毛は手術なので、少なからず頭皮に傷跡が残ってしまいます。しかし、執刀する医師の技術にもよりますが、現在では傷口も最小限にし、痛みも少ない技術も確立されつつありますので、手術の方法や痛み、傷跡がどの程度残るのかをクリニック側としっかりと話し合い、症例なども交えてカウンセリングに時間をかけてください。

毛が生え揃うまでに時間がかかる

自毛植毛後、1ヶ月前後で一旦毛髪が抜け落ちてしまう場合があります。しかし、これは定着後、ヘアサイクルによって脱毛に至っているだけなので、その後暫くすれば、また髪の毛は生えてきます。

しかし、全体的な髪の毛が生え揃うには、最低でも数ヶ月は要するので、周りの髪の毛と馴染んでくるまでは、見た目の違和感が大きくなってしまいます。

ショックロスによる脱毛

ショックロスとは、植毛した部位の周辺の髪の毛が抜け落ちてしまう現象です。なぜ植毛した周辺の髪の毛が脱毛に至ってしまうのかは、はっきりとした原因は分かっていないのですが、通常は脱毛しても、しばらくすればまた髪の毛は生えてきますので、心配する必要が無い現象と言われています。

植毛する元の髪の毛が無ければ手術できない

例えば、火傷や薬の副作用等で、頭全体の毛包が死滅し、移植元となる髪の毛が無い場合や、広範囲に渡って禿げてしまっている場合では、自毛植毛は行なえません。このような症例の場合は、現状ではかつらによる選択肢しかないのが実情です。

しかし、記憶にまだ新しい「iPS細胞」が、将来的に機能を失ってしまった毛母細胞等を作り出せるかもしれません。iPS細胞がAGAを代表する薄毛や抜け毛の原因を全て解決してくれる日も、そう遠くないのかもしれません。

2013/1/23 追記

山中教授のノーベル賞受賞後、かなりのハイペースで成果を上げ続けている「iPS細胞」に、また新たな成果が発表されました。なんと、マウス実験ながら、髪の毛を生やす元となる「毛包」の再生に成功したとのこと!これは素晴らしいニュースですね。

毛包とは、毛穴より下にある髪の毛を取り囲む組織のことで、髪の毛が作り育てられていく過程で非常に大切な部分が毛包です。生長期の毛根の下部は球状に膨れており、「毛球」と呼ばれています。

以下のページで、別に記事を作成しましたので、是非目を通してみてください。

>>iPS、薄毛治療の可能性=毛髪組織を部分再生―慶応大

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