ジヒドロテストステロン(DHT)と5αリダクターゼ

AGA(男性型脱毛症)の原因として、現在もっとも有力な原因として考えられているのが、男性ホルモンによる脱毛です。そして、脱毛部にはジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる活性型の男性ホルモンが高濃度にみられることから、脱毛の原因はこの物質であると考えられています。

ジヒドロテストステロン(DHT)とは?

ジヒドロテストステロン(DHT)とは、男性ホルモンの「テストステロン」が「5αリダクターゼ」という酵素によって変化させられた活性型の男性ホルモンのことです。

このDHTは、髭などの体毛を濃くする作用がありますが、逆に毛髪は薄毛化してしまうという働きがあります。さらに、毛根を萎縮させる力が通常の男性ホルモンの10~100倍とも言われており、薄毛や抜け毛に悩んでいる人にとっては、とんでもない作用を引き起こす男性ホルモンなのです。

テストステロンとは?

テストステロンとは男性ホルモンの一種で、成長期において「男らしさ(二次性徴)」を形成するために必要なホルモンです。性欲や性器の形成、筋肉の発達等の働きがあり、毛髪を太くする作用があます。テストステロン単体には薄毛となる原因は無く、DHTに代謝されることで初めて薄毛や性欲減退を促す作用が出てしまいます。

テストステロンは男性なら精巣、女性なら卵巣から分泌され、副腎からも微量ではありますが分泌されています。20代をピークに減少し始めます。減少することで性衝動が衰え、不眠や集中力の低下、鬱、疲労感など、精神的にも身体的にも影響が出ると言われています。

5αリダクターゼがテストステロンをDHTに変化させる

「男らしさ」を形成するのに必要なテストステロンは、単体では脱毛に繋がる作用は無いのですが、毛乳頭や皮脂腺に存在する「5αリダクターゼ」と結びつくことで、薄毛の原因となる「DHT(ジヒドロテストステロン)」へと変化してしまいます。

毛乳頭や皮脂腺に存在する5αリダクターゼは、男性にとって必要不可欠な男性ホルモン「テストステロン」と結びついて、薄毛の原因となる活性型男性ホルモンの「ジヒドロテストステロン(DHT)」を生み出す還元酵素。

5αリダクターゼという還元酵素

5αリダクターゼは、毛乳頭や皮脂線に存在しており、既述したようにテストステロンと結びついて薄毛の原因を作り出してしまうやっかいな酵素です。テストステロンは20代後半をピークに減少していきますが、テストステロンが減少することで身体がジヒドロテストステロン(DHT)を産出しようとして、5αリダクターゼがより多く生成されると言われています。

そして、この5αリダクターゼには1型5αリダクターゼと2型5αリダクターゼの2種類のタイプがあることが解っているのですが、最近の研究結果から、1型5αリダクターゼより、2型5αリダクターゼの方がより強力にAGAに影響を与えていると考えられています。また、この還元酵素が多く生成されてしまう体質は遺伝するとも言われています。

以下にそれぞれの5αリダクターゼの作用を見てみます。

1型5αリダクターゼ

1型5αリダクターゼは皮脂腺に多く存在しており、1型の分泌が多い人は脂性でにきびが出来やすい。

2型5αリダクターゼ

2型5αリダクターゼは、毛乳頭に多く存在し、2型が多い人は体毛や髭が濃い人が多い。

そして、5aリダクターゼが薄毛の要因となることを裏付ける研究結果として、5αリダクターゼ欠損症(2型5α-リダクターゼが欠如している)の男性では、AGA(男性型脱毛症)が見られなかったそうです。また、1型5αリダクターゼは前頭部と後頭部の毛乳頭で見られるが、2型は前頭部のみで発見されています。このことからも、2型5αリダクターゼの方が薄毛に対する影響が大きいのでは?と考えられているのです。

ジヒドロテストステロン(DHT)と5αリダクターゼの大量生成は遺伝する

AGAには遺伝的要因も大きいと言われていますが、中でも5αリダクターゼが多く生成されてしまう体質は遺伝によるものが大きいと言われており、その中でも2型5αリダクターゼが多く生成される体質であれば、AGAとなる可能性が高くなってしまいます。

過剰に生成されるだけでなく、5αリダクターゼが活発に働く体質であったり、ジヒドロテストステロン(DHT)の生成量が他の人よりも多いといった、薄毛になる要因が遺伝してしまうということが、最近の研究で分かってきました。

本当に遺伝しているのかどうかは、AGAの遺伝子検査でチェックしなければ分かりませんが、AGAによる薄毛・抜け毛に悩まされている親兄弟を含めた親族がいるならば、気をつけたほうがいいかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました