頭皮ダニの異常繁殖で毛が抜ける

人間の頭皮を含めた皮膚の上には、皮膚常在菌と呼ばれる菌が無数に生息しています(皮膚常在菌と抜け毛の関係)。そして、頭皮には毛穴が無数にありますので、その穴の中に菌が繁殖しやすく、特に頭皮に多く生息していると言われています。

しかし、人間の皮膚には、これらの皮膚常在菌の他にも、「皮膚ダニ」と呼ばれるダニまで生息しているのです。「ダニ」と聞いて、まず最初に連想するのは、あの小さな「ダニ」だと思いますが、まさにその「ダニ」が人間の皮膚にも生息しているのです。

97%以上の人に生息している皮膚ダニ

「私は毎日綺麗に頭皮を洗っているから大丈夫」と思っている綺麗好きなアナタにも、ほぼ確実に「皮膚ダニ」は生息しています。統計上では、なんと97%以上もの人の頭皮に、この皮膚ダニの生息が確認されているそうです。綺麗なあの子の頭にも、顕微鏡で見ればあのダニがウジャウジャと・・・。

冗談はさておき(冗談でもありませんが)、この皮膚ダニの事に関して、少し詳しく説明していきたいと思います。

この皮膚ダニの名前は「デモデクス」といって、特に皮脂の分泌が多い頭皮を中心に、ほぼ全身に生息していると言われています。そして、デモデクスは主に毛根や皮脂腺、毛穴に住み着いており、その付近に付着している皮脂や、毛根部分の栄養素をえさとして繁殖しています。

すこしぞっとする数値となるのですが、このダニは一つの毛穴に平均して3匹程生息していると言われています。そして、日本人の平均の毛髪数は10万~15万本とされていますから、人間の頭皮には平均して、約30万~45万匹もの皮膚ダニが生息しているということになります。

そう、可愛くて美人なアノ子の頭にも、顕微鏡でのぞけばそこには・・・。

そして、このダニが異常繁殖してしまうと、毛根付近の栄養素や、頭皮に必要な皮脂まで食い尽くされてしまうのです。さらに、そのダニ達の「フン」が汚れとなり、毛穴を詰まらせます。

ダニによって栄養を奪われ、フンやダニの死骸によって荒らされた頭皮は、かゆみやフケ、乾燥を招き、頭皮の炎症や抜け毛の原因の一因となっていくのです。

異常繁殖を防いで抜け毛を予防する

この様に、皮膚ダニの異常繁殖は頭皮環境の悪化を招き、抜け毛を増やしてしまう一因となりかねないのです。では、いつもよりシャンプーの回数を増やして、徹底的にこのダニを排除すればよいのか?答えはNOです。ダニと聞いて、悪いイメージばかりが先行してしまうと思いますが、この皮膚ダニは頭皮にとって有効な働きを持っています。

このデモデクスという皮膚ダニは、人間の皮脂をエサにして処理してくれるという働きを持っています。もし、この皮膚ダニが頭皮にまったく存在していなければ、今度は増えすぎた皮脂が毛穴を詰まらせ、皮脂の増えすぎによる皮膚トラブルを抱えてしまうことになります。

このような有効な面もあることから、皮膚ダニを完全に死滅させてしまってはいけないわけです。何事もバランスというわけですね。要するに、ダニや菌の異常繁殖を防ごうというわけです。

これらのダニや常在菌が異常繁殖してしまう原因として、良く言われているのが生活環境の悪化です。食生活が乱れ、栄養の偏りや睡眠不足、不規則な生活を続けていると、ダニや菌類が異常繁殖してしまうことが知られています。

逆に、規則正しく、ストレスの少ない生活を送っていれば、異常繁殖はせずに、一定のバランスを保ちながら共存していくことが可能なのです。もちろん、頭皮を不潔にしてしまえば、ダニのエサである皮脂が増えすぎてしまうので、それをエサにするダニが異常繁殖してしまいます。

頭皮が脂っこい人や、フケが多い人、頭皮がなんだか赤っぽくてかゆいと感じる人は、皮膚ダニが異常発生している可能性があります。皮膚科へ行って頭皮の状態を見てもらうと早いのですが、自分でできる対策としては、毎日のシャンプーや正しい生活習慣、規則正しい睡眠や、ストレスをなるべく抱え込まない日常を送って、頭皮環境を正常に戻していくことでしょう。

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