人工毛植毛は、主に合成繊維で作った人工の毛を頭皮に植え込む植毛法のことで、人体に比較的親和性が高いといわれているポリエステルやナイロンを使用します。
日本では昔から馴染みの深い薄毛対策として有名でしたが、人工毛植毛にはデメリットがたくさんあり、男性型脱毛症診療ガイドラインの中では推奨度が最低ランクのD(行わないよう勧められる)に指定されています。
植毛先進国でもあるアメリカでは、人工毛植毛は問題のある増毛法と判断されており、現在では法律で禁止されています。日本ではまだ禁止には至っていませんが、出来れば行なわないほうが良い薄毛治療と言えるでしょう。
人工毛植毛のメリット
人工毛植毛は人工の毛なので、植毛する毛の長さや太さ、密度や色を自由に作成することができ、希望通りの髪形にできます。また、植毛直後からボリュームアップを実感することもできますので、即効性が高いという特徴もあります。
しかし、アメリカでは人工毛植毛の移植自体が法律で禁止されていることからも分かるように、頭皮に様々なダメージを与えてしまう可能性のある植毛法なのです。
人工毛植毛のデメリット
デメリットがたくさんあり、全てを説明していると長くなってしまいますので、箇条書きで可能性のある頭皮への影響をいくつか紹介します。
- 頭皮の炎症や化膿を起こしやすい
- 人体の免疫機能によって異物と判断されてしまう
- 植毛した人工毛は1年後には6~8割程も抜けてしまう
- ボリュームを維持するためには1年に数回の再手術が必要
- 心身への負担と経済面への負担が大きい
- 頭皮の表面に無数の小さな「穴」のような傷跡が残る
人工の毛は、人体の免疫機能によって「異物」と判断され、、体外に追い出そうとします。その結果、せっかく埋め込んだ毛が1年後にはかなりの本数が抜けてしまいます。
また、埋め込んだ毛穴の周辺は炎症や化膿が起こりやすく、それらが慢性化することで、頭皮が線維化して硬くなり、血流が低下してしまいます。血流の低下は、元々残っていた毛髪にも影響を与え、その周辺の毛も抜け落ちてしまいます。
このように、多くの副作用が認められていることから、男性型脱毛症診療ガイドラインでも推奨度がDとなっています。同様に植毛を行なうのであれば、自身の毛を植毛する「自毛植毛」を行なうことをお勧めします。