かつらで薄毛を隠す

かつら(鬘)は、人の頭部にかぶせて、もとある頭髪を補ったり別の髪型に見せるために使う、人工的な髪のことです。日本で「かつら」といえば、薄毛を隠すために使用しているといったマイナスのイメージがあり、若い世代が生え際が怪しい人に対して”ズラ”と揶揄する等、世間的にもあまり評判がよくありません。

しかし、中には病気による脱毛や、薬の副作用による脱毛、火傷による怪我等で、かつらやウィッグを装着しなければならない人も居り、冗談半分でもそういった「からかい」は、本人にとって大きな心の傷となる場合もあるので、軽はずみな発言は控えたいところです。

かつらの歴史

かつらの歴史はかなり古く、エジプトではかつらを被った状態で埋葬されていたミイラも多数見つかっています。日本でも、醍醐天皇(879年~930年)の時代に、かつらを使用していたという記録が残っています。今から1100年以上も前の話です。

また、昔の西洋ではノミやシラミが大発生したことから、衛生状態を改善する目的で髪の毛を短く刈り上げ、人毛を編んだかつらを使用するのが一般化していました。かつらが正装の一部として認められていたのです。その後、生活の環境が改善し、ノミやシラミの心配が無くなってからも、その習慣は残りました。

ベートーベンやバッハを代表するクラシック音楽の作曲家等の肖像画に、似たような髪形のものが多いのは、皆かつらを被っていたためと言われています。

かつらの種類

かつらには数種類のタイプがあり、一般的な認知度では、頭皮が丸々すっぽりと治まるようなカツラがイメージされると思いますが、実際には部分かつらや編みこみタイプ等、薄毛の状態や髪の毛の残りの状態等で、幾つかの種類に分類されています。

ピン止めタイプのかつら

かつらに付いている特殊な「ピン」で、土台部分を自毛に挟み込んで頭部に固定します。昔から使われているタイプがこのピン止めタイプのかつらです。

特殊なピンによって土台部分を自毛に固定しているだけなので、お手軽な反面、走ったり前かがみになっただけでも取れたりズレてしまいます。

ベースはビニール、ポリウレタン、ナイロン系などの石油系の樹脂または繊維を使用しています。メンテナンスには専門店に預けて行ないますが、メンテナンスの間は薄毛を隠すかつらが無くなってしまいますので、通常は2個で1セットとして使用する場合が多いようです。

結毛タイプのかつら

自毛1本1本に、数本の束を糸で結びつけるタイプと、人工膜の周りを自毛と結びつけたり、接着剤で固定するタイプのかつらがあります。自毛にしっかりと固定しますので、途中で取り外すことはできません。

結毛タイプのかつらは、自毛が伸びると浮いてくるので、再調整や再交換を行なう必要があります。ピン止めタイプに比べて振動に強く、走ったり前かがみになったくらいでは外れませんが、カツラを固定している自毛にはその分負担が掛かるので、髪の毛が通常よりも抜けやすくなってしまいます。

編み込みタイプのかつら

編み込み式増毛法とも呼ばれていて、漫画家のやくみつるさんが、自身が執筆する漫画の中で、編み込み式によるかつらを使用していることを語っています。

自分の髪の毛に糸を編みこみ、土台を作成。その土台にネットベースのかつらを結びつけるタイプで、取り外しの必要がありません。また、装着したまま温泉に入ったり、プールに入ったりすることができ、その仕上がりもかなり自然なものとなります。

結毛タイプと同じように自毛が伸びると浮いてくるので、再度調整しなければなりませんが、走ったりしてもズレることはまずありません。シャンプーの際にも外す必要はありませんが、綺麗に頭皮を洗うには少々コツが必要です(すぐに慣れるそうです)。取り外しが出来るタイプもありますので、自毛の状態による選択肢も用意されています。

頭皮密着タイプ(接着)のかつら

極薄の人工膜がベースの人工毛使用のかつらです。厚さ0.03ミリ~0.13ミリと非常に薄く、通気性もあります。見た目ではかつらかどうかを判別することが難しく、芸能人でこのタイプのかつらを利用しているのでは?と思われる(または噂される)有名人は結構いるようです。(断言は出来ませんが・・)

ベースを頭皮に完全密着させますので、衝撃にも強く、非常に取れにくいかつらです。しかし、頭皮にピッタリと接着する必要があるため、接着面の産毛や残っている毛髪は剃ってからの装着となります。これは薄毛を気にしている人にとってはかなり勇気がいります。。

冒頭に通気性はあると書きましたが、頭皮とかつらのベースの設置面には粘着性の接着剤が使われますので、接着剤を使わないタイプに比べて、通気性は悪くなるのでは?との情報もあります。

両面テープタイプのかつら

頭皮密着タイプと同様に極薄の人工膜がベースのタイプで、さらに皮膚感をだしたものです。通気性は粘着タイプと比べても高く、毛髪部分には人毛を使用します。このかつらも、見た目ではまず気づかれることはないでしょう。

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