発毛に関して、特に重要な役割を持っている毛母細胞(もうぼさいぼう)。狭義では「毛乳頭周辺の細胞組織のこと。毛乳頭から栄養素や酸素を受けとり、細胞分裂することで髪の毛をつくりだす。(kotobank 毛母細胞より」となっていますが、以下にもう少し詳しく説明していきます。
発毛とシグナル伝達物質の関係
単純に「髪の毛が生える」と言っても、詳しく見ていくと、様々な過程を経て発毛に至っていることがわかります。発毛に関わるキーワードを以下に並べて見ます。
- 毛母細胞
- 外毛根鞘細胞(がいもうこんしょう)
- 内毛根鞘細胞(ないもうこんしょう)
- 毛乳頭細胞
- 脂肪細胞
- 毛包幹細胞
- 色素幹細胞
- メラノサイト
これらは発毛の過程で関わる様々な細胞です。それぞれを詳細に説明していくと、このページだけで収まらなくなってしまうので割愛しますが、髪の毛が生えるためには、これだけの細胞が関わっているわけです。
さらに、上記の細胞以外にも、毛髪の成長期や後退期などを制御する、「FGF5」や「 TGF-β1」といった生体分子も、発毛に欠かすことの出来ない役割を持っています。
生体分子=シグナル伝達物質
「FGF5」や「 TGF-β1」といった生体分子は、別名「シグナル伝達物質」と呼ばれていて、それらへの応答として、細胞の運命や行動は決定されてしまいます。このシグナル伝達物質は細胞間や細胞内を伝達しており、必要な時に必要な場所で作られています。
これは、「髪の毛が抜けたから新しい髪の毛を増やす」というシグナルを出し、それが「発毛」のプロセスを作り出します。そして、このシグナル伝達物質の動きをコントロールしているのが、何を隠そう「毛母細胞」なのです。
ようするに、毛母細胞になんらかの異常が発生すれば、「毛を生やす」ための命令が各細胞に伝わらず、抜毛や薄毛の原因となってしまうのです。
AGAに悩んでいる人は、男性ホルモンの異常や乱れた生活環境等が影響して、毛母細胞の働きが鈍くなっていることも多いのです。毛母細胞の働きが鈍くなれば、「発毛シグナル」が各細胞に伝達されず、丈夫で健康な髪の毛が育ってこないというわけなのです。
毛母細胞がもしなんらかの理由で死滅してしまえば、そこにはもう髪の毛は生えてこなくなります。そして、この毛母細胞には寿命があります。永遠に再生が行なわれるわけではないので、発毛に関してなんらかの異常を確認した場合は、なるべく早くに対策を行なう必要があるのです。
毛母細胞と発毛・育毛の関係
毛母細胞と発毛・育毛の関係をもう少し掘り下げて説明していきます。
まず、毛母細胞の中にある「発毛伝達物質」が発毛シグナルを出します。この発毛伝達物質には「BMP」や「エフリン」といったものがあり、車のレースにおける「チェッカーフラッグ」的な役割を担います。そして、その発毛シグナルを受け取った毛母細胞や内毛根鞘細胞が活性化し、発毛に至るのです。
ヘアサイクルには「成長期」と呼ばれる髪の毛の成長期間があり、その期間が2~6年間程続くと言われています。そして、その成長期を持続させるために、生体分子は「成長期」のシグナルを出し続けます。その間は細胞が活性化されて、髪の毛は成長していきます。
一方、ヘアサイクルの「退行期」には退行期のシグナルが、休止期には休止期のシグナルが伝達されます。これらの一連の流れが「ヘアサイクル」となって髪の毛の生成に大きくかかわりを持っているわけです。
前述した「生体分子=シグナル伝達物質」の項目でも書きましたが、このシグナル伝達の司令塔となるのが毛母細胞であり、この細胞が正常に働かなければ、発毛やヘアサイクルが乱れてしまい、正しい発毛が行なわれなくなるのです。
毛母細胞を活性化させるには?
毛母細胞の働きが異常になってしまう要因は様々です。一般的には、男性ホルモンの異常による影響が大きいとされていますが、生活習慣やストレス、睡眠不足や栄養の不足といった、様々な原因が複雑に絡み合い、毛母細胞の健康を脅かしているのです。
毛母細胞の異常を招いてしまう外的要因としては、普段から使用しているシャンプーや、シャンプー自体の誤った方法、整髪料による頭皮への刺激等、頭皮を傷つけてしまうものが一般的です。
以下に毛母細胞の活性化に関係する記事の一覧をまとめましたので、そちらも参考にしつつ、毛母細胞を活性化させる習慣を身に付けてください。