AGAの主な原因物質としては、ジヒドロテストステロン(DHT)が原因ということが、最近の研究によって分かってきました。AGAでは、脱毛部分の頭皮に多量のジヒドロテストステロンが確認されており、この物質が抜け毛や薄毛の原因と言われています。
一般的に男性ホルモンは、思春期には髭や胸毛の発毛を施しますが、頭髪に関しては全く逆の、脱毛を促してしまうのです。
遺伝による薄毛・抜け毛のページでも、男性ホルモンに関する情報を載せていますので、こちらのページと併せて確認してみてください。
DHT(ジヒドロテストステロン)がヘアサイクルの乱れを招く
DHT(ジヒドロテストステロン)は5α-還元酵素によってテストステロンから作られ、このDHTが毛乳頭細胞に存在する男性ホルモン受容体と結合することにより、ヘアサイクルが乱れ、成長期が終了してしまいます。そのために、毛髪が太く長い毛に成長する前に抜けてしまいます。
毛髪が太く長い毛に成長する前に抜けてしまうと、十分に成長しない「細く短い毛髪」が多くなります。すると、全体として薄毛が目立つようになり、だんだんと地肌が目立つようになってしまうのです。
男性ホルモンと薄毛・抜け毛の歴史
1960年ごろまでは、ハゲの原因は頭皮のつっぱりによるものと考えられていました。そのため、頭皮のつっぱりを解消するための手術等も行なわれていました。1960年代の後半になると、人工的な髪の毛が大量に生産できるようになり、カツラや部分カツラの生産が盛んになってきます。
ちなみに、1940年代以降でも、薄毛・抜け毛に関する様々な実験が行なわれています。その頃の実験は少し怖いものがあるのですが、以下の様な実験が行なわれていたようです。
- 薄毛・抜け毛が進行している人が去勢すると進行が止まった(※ここでいう去勢とは性転換のことでしょう)。
- 去勢した人に男性ホルモンを投与すると、再び薄毛・抜け毛が進行した。
- 髪の毛がフサフサで禿げていない人が去勢した後、男性ホルモンを投与しても脱毛は見られなかった。
これらの実験結果からも、「男性ホルモンが脱毛の要因となることはあるが、必ずしもハゲるわけではない」ということが分かってきました。
その後、1976年にロゲインやリアップの成分となるミノキシジルに発毛効果があることが発見されます。その後、さらに研究は進められ、1988年になってようやくロゲイン(ミノキシジル2%の塗り薬)が初めて薄毛対策に効く薬としてFDA(米国食品医薬品局)に認可されることになります。
男性ホルモンを抑制するAGA治療
そして現在、薄毛・抜け毛の治療方法として最も効果が高いと言われているのが、男性ホルモンがDHT(ジヒドロテストステロン)へ変換されないように抑制する方法です。それがフィナステリドの服用です。
実際に病院で行なわれるAGA治療にもフィナステリドが使われており、その効果の高さを物語っています。フィナステリド剤としては、プロペシアやフィンペシアが有名ですね。
ただし、この方法も万全ではなく、誰にでも必ず効果があるわけではありません。また、副作用も報告されており、国内で入手するには、基本的に医者の処方箋が必要になります。