動物は夏になると毛が抜け落ち、冬になれば冬の寒さに対応するために冬毛に生え変わります。人間の祖先は猿ですが、その猿にしても夏は夏毛となり、冬になればもっさりと毛を蓄えます。
これは人間にも言えることで、夏になって急に抜け毛が増えたと感じた場合でも、それは当たり前のことなので、あまり心配することはありません。必要以上に抜け毛に対して気にする必要は無いのです。
春と夏は抜け毛の季節
過去に季節の変わり目に多い抜け毛という題名で記事をポストしているのですが、今回は「夏」に限定して、もう少しつっこんだ話題を書いてみたいと思います。
春と夏は自然脱毛に至る抜け毛が多くなる季節と言われています。季節によって抜け毛が増える要因としては、自律神経の働きが深く関わっていると考えられています。
冬は寒さから身を守るために、自律神経から身を守れ!といった命令が出されます。しかし、夏は暑さから身を守るための命令が各細胞に送られます。動物は皮膚から感じる温度に敏感に反応し、体毛を落としたり生やしたりしているわけです。
犬や猫を飼っている方であれば、春先から夏にかけて、大量に毛が抜け落ちていく様子は毎年見ていることでしょう。
これは人間でも同じ事です。気温が上がってきたから、無駄な毛(髪の毛含む)をそぎ落として体温を下げよう。そろそろ寒くなってきたから毛を生やしていこう。かなり仕組みを簡略化していますが、この様な命令が自律神経から発信され、体の中の細胞たちがそれに応えていきます。
冬から春になって気温が上がってくると、抜け毛が増えるのはこのためです。そして、どんどんと気温が上がって熱くなる夏にかけて、さらに抜け毛が目立つようになります。しかし、これは人間(動物)にとってはごく自然で当たり前の、本来体に備わっている生理機能なのです。
しかし、夏は自然脱毛だけでなく、他の様々な外的要因によって抜け毛が増えてしまう季節でもあります。
夏は頭皮が不衛生になりがち
気温が高くなると、体温を下げるために汗をかきやすくなります。また、夏は湿気も高いので、頭皮に雑菌(皮膚常在菌など)が発生しやすくなります。汗とともに、強い日差し(紫外線)から頭皮を守るために、皮脂の分泌も活発になります。
しかし、発汗によって頭皮が蒸れたままの時間が長くなってしまうと、雑菌が繁殖しやすい環境が整ってしまいます。皮脂の分泌が活発になることで、皮脂をエサとする皮膚常在菌も大発生してしまい、頭皮環境が悪化してしまいます(皮膚常在菌と抜け毛の関係)。
皮脂は本来、頭皮を守るために必要なものですが、夏になって過剰に分泌されることで、頭皮が汚れて不衛生となり、雑菌が繁殖して抜け毛が増える要因を作ってしまうのです。
頭皮を綺麗に保つためにも、毎日最低1度は洗髪を行うようにしましょう。しかし、洗いすぎて皮脂を落としすぎるのは推奨できません。皮脂を必要以上に落としてしまうと、さらに皮脂の分泌が過剰になってしまうためです。
また、毎日利用するシャンプーにも気をつけたいところです。頭皮を優しく洗い上げ、さらに各種の栄養素を補う作用が期待できるアミノ酸系のシャンプーを利用したり、低刺激でありながらすっきりと洗い上げることができる石けんシャンプー等がおすすめです。
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夏の紫外線で髪の毛や頭皮が傷んでしまう
夏の強い日差しは髪の毛を痛めてしまい、切れ毛や弱い毛の要因となってしまいます。そして、太陽の日差しを一番まともに受けてしまうのが頭頂部です。
髪の毛の量が多い女性や、頭頂部付近にしっかりと髪の毛が生えている男性であれば、太陽から注ぐ紫外線をまともに浴びるという危険性は少なくなります。しかし、頭頂部が薄い、または普段から髪の毛を短めに切るという男性は要注意です。
紫外線を浴び続けることは、頭皮を大きく痛めてしまう要因となります。外出の際は帽子を被るようにして、頭皮に直接太陽光が当らないようにするといった対策を行ってください。
幸い、各種のUVカット関連商品が市場にたくさん出回っています。それらの商品の中から、自分に必要と思われる商品を購入して紫外線から身を守る対策を行いましょう。最低限、帽子だけは被るようにして、夏の強烈な紫外線から頭皮を守るようにしてください。
サラリーマン等で帽子を被ることができないという方であれば、頭皮や髪の毛にスプレーしてUVカットを行うことができる便利なグッズも販売されています。これらの商品はUVプロテクトスプレーという名前で市販されていますので、生活環境によってはこのタイプのグッズが役に立つことでしょう。
各種の紫外線対策グッズを通販しているサイトもあります。UVカット商品といえば女性というイメージが強いですが、最近では日焼けしないように紫外線対策をしている男性も増えているようです。
また、「とにかく頭皮やおでこ等の生え際に紫外線を当てたくない!」という方であれば、このような商品も選択肢に入れてみてください。
日焼け防止用キャップ フリルネックU.T.EというUVカット用の帽子なのですが、頭皮どころか首を含む顔全体を防御してくれるという代物です。紫外線の防止指数は最大でUPF50+とのこと。一般的な紫外線対策として、UPFが50+であれば充分な効果が期待できるとされています。
・・・かっこわるいとかは言ってられません!見栄えよりも髪の毛の方が大切なのです。。
髪の毛や頭皮にとって危険な海水浴
夏といえば海や川、山といったレジャーが楽しい季節です。しかし、海水浴は髪の毛や頭皮にとって非常に負担が大きくなることは、あまり知られていません。
紫外線によるダメージ
海水浴では、陰になる場所が限られていますので、紫外線による頭皮のダメージというのは容易に想像できると思います。しかし、海水自体も頭皮にとっては刺激の強いものであり、夏の紫外線と海水によって髪の毛や頭皮は大きなダメージを受けてしまうのです。
海水で髪の毛が溶ける?
pH(ペーハー)と呼ばれる数値があります。これは酸性なのか、アルカリ性なのかを測る指標のようなものなのです。pHの値が7よりも下であれば酸性、7以上はアルカリ性と定義されています。全部で0から14までの数値があり、海水はpH8~9の弱アルカリ性です。
髪の毛を構成している「ケラチン」と呼ばれるタンパク質は、このpHが10を超えると解けてしまいます。アルカリ性の条件化では解けてしまうのです。
そして、先ほども書いたように、海水はpHの値が8~9の弱アルカリ性です。海水は髪の毛のケラチンを徐々に溶かしてしまい、結果的に髪の毛が痛んでしまう原因となってしまうわけです。
ちなみに、人間の頭皮は酸性で保たれており、その数値はpH4.5~6.5の辺りが正常値と言われています。海水はアルカリ性であるため、海水によって髪の毛だけでなく、頭皮も痛んでいる可能性があるわけです。
海水に含まれる塩分で髪の水分が失われる
まだあります(笑)。それは海水に含まれる「塩」。塩は水分を吸収してしまいます。野菜に塩をかけると柔らかくなりますが、これは塩が水分を吸収するためです。
いたずらっ子な男子なら経験があるかもしれませんが、ナメクジに塩をかけると可哀想なことになりますよね。我々の頭皮も、塩分濃度の高い海水に浸かることで水分が吸収されてしまいます。
当然、髪の毛に含まれる水分も吸収されてしまいます。海水浴の後は髪の毛がぱさぱさになると思いますが、これは海水によって髪の毛の水分が奪われることが原因と考えられます。
この様な理由もあって、海水浴は頭皮や髪の毛にとって、かなりストレスのかかるレジャーであると言えます。それでも海水浴、行きますか?(笑)私は海も好きですが、清涼感の得られる川の方が好きです・・・笑
夏よりもさらに抜け毛が増える秋に向けて・・・
抜け毛が最も多い季節と言われているのが秋口の9月です。紫外線等で夏に酷使した頭皮、夏バテによる栄養の偏りと体力の低下、睡眠不足や冷房による自律神経の不調、代謝の低下等々・・・。これらの”ツケ”が一気に襲ってくるのが9月なのです。
関連記事:夏も終わりに近づいているので秋の抜け毛について考えてみる
しかし、これは逆に考えると、夏場の頭皮ケアの良し悪しが秋口の抜け毛対策になると考えることができます。
先ほど例に出したような、夏バテ対策を取りつつ栄養の偏りを無くし、睡眠不足等の生活環境を意識的に改善することで、秋口に抜け落ちる髪の毛の本数を減らすことが出来そうです。
レジャーに関しても、髪の毛と頭皮の事を考えるのであれば、海水浴は出来るだけ控えたほうが良いと思います。
プールにしても、消毒のために使用されている塩素が頭皮に悪影響を与えるという話を聞いたことがあります。海水程の悪影響は無いと思いますが、心配であればプールも控えるようにしたほうがいいかもしれませんね。